読書   甲子園の無い夏に・・・

朝倉宏景著「あめつちのうた」講談社 1760円

甲子園球場は生きているー主人公・雨宮大地は、社会人野球の選手だった父の期待を背負うも運動能力が低い。
強豪高校の野球部でマネージャーを務め、卒業後、甲子園のグランド整備を担う「阪神園芸」で働いている。
大地の弟・傑(すぐる)は運動能力に秀で、1年生からスタメンで甲子園の土を踏む。
大地は、父の愛情が弟に注がれることに強い疎外を感じている。
この父子のテーマが本書の底流にある。
だが何と言っても、本作の読みどころは阪神園芸のグランド作りであろう。
トンボ(土を均す道具)3年、散水3年,すべての仕事を習得する