連載:こころの風景画 Ⅰ

何しにきたとですか

この話は、介護保険が始まる少し前のことになる。

 ある健康保険組合からの委託で、健康保険料を沢山使っている家庭に訪問指導なる業務をしたことがあった。つまりその方の健康状態を調べて報告と言う仕事だった。

 その時の対象者は95歳のDさんと言う女性だった。入院退院を繰り返しており、訪問してその自宅での日常生活や健康状態を報告することだった。
今回は老人保健施設(いわゆる老健)から退所したばかりで、家庭での生活を見に行くにと、言われていた。健康保険組合からは、何故医療保険を沢山使うかの調査だ。

 もう過去になった話だが、この介護保険法が平成12年の成立以