連載:夢日記

夢日記(ひとりごと)

 スーパーの一画で本を売っていた。僕は小説を見たが君は哲学や歴史の本を手に取った。そして「やっぱり私が働いた方がいいのかしら」と言った。日本語でもフランス語でも英語でもない言葉で。それはほとんど独り言のように聞こえたが、ちゃんと僕には伝わった。

 僕は夢見ることをやめ、しばらくの間寝たふりをしながら君の独り言を聞きつづけた。そのドイツ語でもロシア語でも中国語でもない言葉を。
 
 

カテゴリ:アート・文化