昭和42年6月スイスのマッターホルン登頂後、下山時に滑落死した最愛の兄貴、鳥居重之「享年23歳」に送る詩  by 弟 鳥居信夫

悲しみは消えない

一人の山男がクライマーの憧れ
マッターホルンに挑みそして消えていった

何故兄貴は消えたのか
ただ虚しく響く嘆きのこだま
兄貴が青春を求めたこの山で
青春の終局を迎えた

何故 兄貴は終始山を愛していたじゃないか

夜空を眺め兄貴を探した
空しく果つる兄貴の姿があった
ても兄貴は笑っている僕に

僕の夢に久しぶりに兄貴が現れた
大事な弟よ俺がお前を守ってやる

母親あいに一番愛された息子重之
やっぱり重之は帰って来ない
あいのその呟きは死後三年たって
僕に発せられた

怒りを山にぶつけて