俳句 大川畑光詳 選
エリザベス女王逝けり秋の虹 薩摩川内 谷口千枝子
(評) エリザベス女王が96歳で逝去された。70余年にわたる君主としての献身的な姿は国民の絶大な敬愛を集めた。秋の虹は色も淡く、すぐに消えるので寂寥感を伴う。そこに作者の哀悼の意がこもる。社会事象を詠んで報告句に終わらないためには揚句のように季語の力を生かすことが大切である。
街騒のまだおこらざる白芙蓉 鹿児島 中間 恵子
姿見に襟を正して風炉名残 薩摩川内 迫 美和子
秋の夜の鋭角に折る鶴の嘴 鹿児島 上坪 満代
入院や眠れぬ夜の稲つるび 薩摩川