連載:読書

『まち』

青年はコンビニのオニギリが百円の日だけ、買いに来る。その店に行けば知り合いの店員が声を掛けてくれる。青年はかつてその店で働いていた。

アパートの隣に住む母子は大の虫嫌いでゴキブリが出ると部屋にはいられない。青年はゴキジェットを噴射しやっつけてやり、死骸は自分の部屋のトイレに流す。小学生の娘は殆ど喋らず何かを抱えている雰囲気だ。



幼い頃に両親を亡くし祖父に育てられた青年瞬一は、高校を卒業すると同時に誰一人知り合いのいない東京に出て来る。進学も就職も決めずに。

広い世界を見て来い、人を守れる人間になれ、という祖父の言葉に背中を押され