Saidの嘘つき

サイー君は床屋である。

床屋というのは昔医者の代わりもした位偉い人なのに、今日も彼はまたヘマをやらかした。彼のいう通り十一時に店へ行ったにも不拘、店はまだ閉まっておったのである。

仕方ないので入り口のドアに貼り付けてあった電話番号に電話することに。ところがその携帯を家に忘れてきたのである。まさかサイー君が遅刻するなんて思わなかったということもあるが僕はあんまり携帯を持ち歩きするのは好きでないのだ。

それでいつも買ってやっているオリーブ油販売店に頼んで電話を、次いですぐ隣のマニキュアの店に電話を借りたが、いずれも不通、多分まだラマダンだか