連載:にゃんこの歌

猫のいる風景

  黒猫


彼女は輝く銀河の闇から生まれた

しなやかな体と誇り高い仕草は

僕を魅了して止まない

彼女は時々風や蝶に姿を変える

窓から外を眺めていると思ったら

ひらりと身を翻し黒いアゲハになり

庭の草花の上を飛び回っている

そして飽きると僕の足元に来て

みゃーみゃーと甘ったるい声で話し掛ける

僕が彼女のビロードのような身体を撫でると

二度ほど触れるのを許すが

三度目はするりと僕の手を躱(かわ)し

その小生意気な鼻を天にむけ

長い尻尾をピンと立て

まるで貴婦人のような