光る山

 千早茜の「しろがねの葉」を読了した。著者は直木賞作家で、2008年に「魚」で第21回小説すばる新人賞を受賞し、同作を改題した「魚神」で作家デビューしている。本書は2023年第168回直木三十五賞受賞作で、安土桃山時代末期から江戸時代初期にかけて、石見銀山で生き抜いた一人の女性の生涯を描いた時代小説である。
 本書の物語は、豊臣秀吉の朝鮮征伐が行われる時代に始まる。本書の主人公のウメは子供の頃から夜目が利いたため、周囲に気味悪がられていた。彼女の一家は、石見国との国境から山を二つ、三つ越えた貧しい村に住んでいた。秀吉の唐入りのための過酷な年貢と凶作に堪