アイヌ犬(2)

 コロは、飼い主に自分の亡骸(なきがら)を見せるのを”恥”だと思ったのかもしれません。そんな“武士道”をわきまえたような気性のアイヌ犬だったんです。決して凶暴だったわけではありませんが、家族以外の人には警戒心が強かったようです。
 コロはアイヌ犬らしく、1メートルも雪が積もる夜でも、犬小屋には入りません。土砂降りの雨の日以外は必ず外で寝るのが好きだったんです。朝、見に行くと、コロの寝ている場所からまっすぐ上に向かって雪の中に空気の通り穴が開いています。こから吐く息が水蒸気となって立ち昇っていました。
 そんな大雪が降った時でも私の足音を聞きつけると、