おちか母となる

 宮部みゆきの「青瓜不動-三島屋変調百物語九之続-」を読了した。著者は直木賞作家で、ミステリー、時代劇、ファンタジー等、レパートリーの広い作家である。本書は三島屋変調百物語シリーズの第九作目の中短編集であり、著者お得意の江戸怪異譚である。なお、本書では、三島屋の黒白の間における先代の聞き手のおちかは、待望の出産を遂げている。 
 「序」:本書では聞き手の富次郎の兄で、三島屋の跡取りの伊一郎が修業を終えて三島屋に帰ってきているが、前作の事件が尾を引いて、伊一郎は多少鬱屈している。
 「青瓜不動」:おちかの出産を控え、百物語を休んでいる三島屋に、第二巻の