中島久枝 の「ひとひらの夢 日本橋牡丹堂 菓子ばなし(十二)」

★3.3 シリーズ12作目。
「鹿の子」職人に父親となって欲しいと願う紺屋の10歳の娘からの依頼の菓子。紺屋の女主と使用人である職人との微妙な関係も。

「黒茶」清国の3種の茶を使った茶会は札差の根岸の別邸で開かれる。あの春霞からの依頼の菓子。山野辺藩の新任留守居役の披露目の日と重なって。

「かりんとう」学者の女房と娘が煙草をやめられない主のために依頼する菓子。「吉原芸者」越後の百姓の出の娘が医者の娘と偽り、二挺鼓の芸を継ぐ披露の菓子。

今回は学者一家が登場したこともあり、万葉集などの歌が多数引用されているのは新しい試み。また、吉原内で働く芸者の扱い