さんが書いた連載花の日記一覧

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「薔薇が咲いた」

「あと30数えたら上がりましょう」 「30じゃ温まらないわ」 「じゃ、40までにしましょう」 「1~2~3~4~5~~~40」 「おまけであと10数えて下さい」 「1~2~3~~~10」 「さあ、上がりましょう。長くなり過ぎると心臓によくないってお医者様が言ってましたよ。背中を壁に付けて、膝を曲げて」 お風呂に入るまでが面倒で、湯に浸かれば今度はなかなか出ないB子さんが、素直に動く。 …

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「夢の庭園」:シャクナゲ

これ程沢山咲くとは予想しなかった。去年、花が終わるか終わらないうちに、花の直ぐ下の辺りを剪定鋏で切ったが、それがよかったのだろうか。 蕾の時はビンク色だが、咲くと殆ど白色だ。 もう一鉢は新しいから株は小さい。こちらも沢山蕾を付けていた。ピンク色だ。 シャクナゲの良さは長い間楽しめる事。蕾だ。去年のうちに出来、年を越して春が近付いて来ると膨らんで来る。 山に登るとよく見る。シャクナゲと言え…

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「黙って傍にいる」:イカリソウ

色が透き通っている。白とピンクがお互いを引き立てている。 まさかここまで綺麗に咲くとは思ってもみなかった。よく見ると最初に咲いた二鉢は紫がかった色だが、三鉢目はピンク色だ。 去年上野のグリーンクラブで買い求めた一株を三つに株分けした。鉢を置いた場所の違いなのだろうか。 花は下向きで小さい。拡大して見るとその形は十字架のようにも見えるし、名前の由来になった船の錨(イカリ)そのものにも見える。…

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「ピンク色と若葉色」

幸いな事に入学式翌日はママの定休日。ママがお兄ちゃんを学校まで送って行く。新一年生の荷物は驚く程多い。何せ学童で食べるお弁当まである。 弟クンはバアバとお留守番。保育園はお休みだ。ママを独占出来る日だが、娘はバアバがいる時に普段なかなか出来ない買い物やら用事を済ませる。 弟クンには虫取り網を見せて外に連れ出した。嵐の入学式とはうって変わり、風もなく青空が広がっている。家の前に舗装していない道…

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「千葉のイチオシはさくらの山公園」

「さくらの山公園?」 「よくわかったな」 「覚えてるよ。成田で花見と言えばここしかないよ」 駐車場には交通整理の職員が二人もいた。相変わらずかなり雨が降っている。 「さすがに千葉だな」 ソフトクリームの値段が上野の半額だ。 その時ゴーッとあの音が聞こえた。直ぐそこを飛行機が着陸して来る。この音を聞いて興奮しない人間などいるだろうか。 空港を見渡すフェンスには傘を差した人達が並んでいる。カ…

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「一人で歩く」

実は「桜おばさん」はもう一人いた。 「お帰りなさい愛子様ゾーン」には報道陣と私達とどう見ても本物のランナーには見えない筋肉質の男性と「桜おばさん」。そしてもう一人の女性。 いつ、帰って来るか分からない愛子様を待つ間、二人は広角泡を飛ばしと言いたいが議論ではないからにこやかに喋っていた。 「朝雪が降っていたんですよ」 私は二人から距離を取っていたが、そこだけ聞こえて来た。 「どちらからいら…

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「いつ死んでもいい」

地味ないでたちだ。大き目のリュックに紐付きの帽子、長袖シャツとパンツは特に目立った特徴もない。 辺りはすっかり暗くなり、桜の下では黒っぽいスーツを着た男性ばかりのグループが宴会をしている。 似ている。 「あのー、先程の方ですよね」 お濠の方を見ている後ろ姿に声を掛けた。こちらを向いた顔は間違いない。愛子様を一緒に見た「桜オバサン」だ。 行く方向が同じと分かり一緒に歩き出した。 「ここで渡…

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「桜も吹っ飛ぶ出来事」

「何かお探しですか」 やっぱり来たか。制服警官に話しかけられる。職務質問というものなのだろう。 「パトカーも停まっているし、テレビカメラもあるので」 「こちらが見やすいですよ」 お互い一言も具体的な名前は出さない。お咎めもない。案内する警察官。どこにでもいる温厚なオジサン風だが、職質ピカイチの警察官なのだろう。 門の脇にポールが置いてあり2~3メートル囲ってある。その中に「報道」の腕章を付…

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「桜が咲き出した」

「抱っこ」 迷わず抱っこする。首にしがみついて来る。甘えというより体がキツいのだろう。 外に出ると、暑くて直ぐにジャンバーは脱いだが、それでは足りない程暑い。直射日光を浴びると頭が暑く、日陰を探した。これで三月! それでも孫は公園にいた子供に近づき話しかけ、回転遊具は「押してやる」と4月から小学校だという女のコと遊んだ。 ためらわずに近付く。駄目なら駄目で周りをグルグル走り回ったり、自分の…

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「本格的な春到来」

毎日靖国神社の標準木はテレビに出るが、昨日やっと開花宣言が出た。それを見越していたのだろう木の周りには大勢人がいた。 娘宅からの帰り道、白い木蓮や雪柳を見掛けた。辛夷も木蓮に似ているが、辛夷の方が小ぶりで、木蓮は白色が光っている。 桜で有名な川には両側に桜並木はあるが、まるで時が止まったように変化がなかった。このまま咲かないのではないかと思ったくらいだ。 桜も君子蘭と同じで一定の低温と高温…

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「花に励まされる」

街を歩いていると自然に椿を探してしまう。庭木に椿は多いが綺麗に咲いているのは滅多にない。 枯れた花を摘み取る事をしていないし、樹形も花が綺麗に見えるようにはなっていない。 椿に目を向けていないのだろう。大輪の花を見ると勿体無いと思う。 二晩娘宅にいて弟クンと一日中過ごした。体調を崩して保育園はお休みだった。日中は普段通りの元気だが夜になると咳が酷くなった。自分の病気より辛い。 自宅に戻る…

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「防ぎようがない」

また一輪咲いている。赤が強烈に目立つ。イカリシボリ。 椿について、というか花全般だが、誰かに教えて貰う事がないので、名前を知らない。スマホ様しかない。イカリシボリだと教えて下さった方がいた。 風は冷たいし桜の蕾も一向に膨らんで来ないが、春は春。咲き出した。但し一輪ずつだ。 何とか来年もこんな花を咲かせて欲しい。スマホ様に聞いた。知っているはずの花でも何か一つは新しい知識を教えてくれる。 …

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「一輪咲いた」

木の一番下に一輪咲いている。その花をリビングから見たい。外に出た。震え上がる程寒い。 日差しは春めいても真冬並みに寒くなっている。 一鉢動かすには他の鉢も動かさなければならない。パンジーは今や満開だから日当たりが少しくらい悪くても頑張ってくれるだろう。枝が重ならないよう、サクラソウも動かそう。 「桃太郎」も見えるように置きたいし、芽を出した山野草も舞台に載せたい。 「桃太郎」が咲いたと…

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「君子蘭の寿命」

花芽が伸びている。分厚い葉の重なりを押し広げ、見る度に伸びている。 ガラス戸の外には椿の蕾が色付いている。桃色一色の混じりっけなしの花が咲くはずだ。   寒い。一度20℃近くになってからこの寒さは寒過ぎる。 だが、これが普通の二月なのだ。二月が一番寒い。 夜は夜明け前が一番暗いという。そして一日の中で朝が一番寒い。 君子蘭は室内に入れてあるから花芽が出来るが、その前にかなりの期間寒さを経…

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「君子蘭に花芽が出来ている」

花芽だ。葉をどけて点検した。3本もある。もう一鉢も見た。やはり3本の花芽が出来ている。 君子蘭は寒い中に置かないと花芽が付かないと知ってから、室内に入れるのをジッと我慢した。 「秋から冬に10℃以下の気温に約60日当たることで花芽が伸びるので、秋は霜の直前まで戸外で管理し、室内に取り込んだあとも5℃以上、10℃以下で管理しましょう。」 12月は暖かかったから、年末まで待った。 自分でも驚…

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「蝋梅と啓翁桜」

シャッターが半分降りている。休みなのだろうか。引き戸に手を掛けた。開く。 「こんにちはー!」 ハイと小さく答えた。 「お花屋、やってますかぁ」 「ハイ」 そう言ってあの店主が出て来た。 「蝋梅ありますか?」 「あすこにあるけど、もう終わりだよ」 店主が指差す先に黄色い花を見つけた。 「年内に来なきゃダメだよ」 「あっ、それ去年も言われました」 「これならまだ…

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「雷!雹!雪!」

「ピカっと光ったね。帰ろう」 弟クンは嫌とは言わない。直ぐにガラガラガラと雷鳴が轟き渡った。 リビングに入ると何やら強い雨のような音。窓を開けると雪の塊?いや雹だ。 「○○クン、ヒョウ、雹だよ」 抱っこで見せた。とんでもなく寒いので窓は締めたが、出掛けている娘とお兄ちゃんが気になった。 お昼寝から起きた弟クンに大泣きされた。仕事から帰って来た娘は少し休んだだけで、今度はお兄ちゃ…

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「蝋梅から猫柳」

「友達は今頃蝋梅を見に行ってるはずよ」 後期高齢者の同僚が言う。 蝋梅。まだまだこれからが本格的な冬だというのに、いち早く春を予感させる花。 早番だから早く終わるはずが、人員不足で遅番が来るまで勤務を依頼されていた。幸い遅番は早目に来た。直ぐに職場を出た。 明るい。そうだ、一度調べた事がある。冬至を過ぎても朝は早くならない。むしろ遅くなる。夕方だ、日の入りが遅くなるのだ。 …

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「クリスマスプレゼント」

花芽だ。シンビジュームの鉢に花芽が伸びている。 弟クンを登園させた後、時間があった。いつもは弟クンと眺める事が多いが、一人でじっくりご近所さんの鉢を眺めた。 今は12月。外に出してあるシンビジュームに花芽が付くなんて驚きだ。娘の住む街は隣の市なのに、ウチより暖かいのだろうか。 花を探して散歩してみる気になった。 日だまりに置かれたプランターにオレンジ色のジニアが満開だ。全…

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「サザンカが咲いている」

街を歩いているとサザンカの生け垣によく出会う。例年寒い北風が吹く中に咲き、冬が来た事を感じさせる花だ。 最初この花を見た時は驚いた。故郷新潟の冬は雪深く、空もどんより曇る水墨画の世界だ。山にある杉以外緑を見る事はないし、ましてや色のある花など全く見られない。 サザンカは椿によく似ているが、椿より咲く時期が早いし、花びら一枚一枚バラバラに散る。椿は花全体が一輪丸々ボトッと散る。 …