門井慶喜の「ゆけ、おりょう」。

★3.3 龍馬と出会ってからのおりょうの半生。

物語としては龍馬が一方的に惚れ、おりょうとはうまく絡まないことが面白い。

おりょうが龍馬の考えていることや、やろうとしていること、心情というものに理解が及ばないことにもよる。

それがためか、龍馬のおりょうへの接し方に、時の浪士の覚悟のようなものを感じてしまう。

晩年におりょうが探され、世間の興味に晒されること自体も哀れである。

連れ添った松兵衛にさえも、記者に訪問されるまでは龍馬のことを全く語ってはいない。

おりょうの心をとらえるのは、ほってはおけない頼りない男なのである、自分が何とかしてやろう