森真沙子 の 柳橋ものがたり 船宿『篠屋』の綾

★3.4 新シリーズ初作。6つの連作短編。
神田川の南岸にある船宿・篠屋に綾は目見え(試用)で住み込んだ。堅気で給金の高いところという希望に両国矢之倉の口入屋・内田に紹介された。

28歳の綾は3年前に夫を亡くし、父は医者をやっていたらしいこと、兄がいたことしかわからない。

時は慶応2年(1866年)9月のこと。家茂が亡くなりこれから次期将軍が決まるという頃、江戸市中は荒れている。内戦と凶作が重なって米が急騰し、打ち壊しや押し込み強盗が頻発している。

篠屋は女将のお簾(れん)が切りまわしており、元は柳橋の芸者。主は富五郎といいしょっちゅう出かけており