泉ゆたか の お江戸けもの医 毛玉堂

★3.4 芦雪の〈狗児図〉を思わせる表紙。昨今の犬猫ブームにあやかってかと思ったがちょっと違った。

谷中感応寺の境内で〈けもの医者〉を開業しているのは小石川養生所を辞めた医師・凌雲(りょううん)23歳と押しかけ女房の美津18歳、貰い手のない白太郎、黒太郎、茶太郎の3匹の犬とキジ虎猫のマネキ。そこへ同じ境内の水茶屋の人気娘・仙から善次という男の子を預けられた。

登場するのは犬、馬、猫、兎、そしてまた犬。凌雲が養生所を辞めた理由や善次の出自にからむ話が織り込まれる。

物語は動物の病気や怪我の治療の話というより生態にからむ話で興味深いが、もう少しインパク