連載:創作物語

月と坊主



むかしむかし、とある村に小さな寺がありました。
その寺には一人の坊主がおりました。

坊主は甘いものが大好きで、特に餡子がたっぷりの牡丹餅が大好物でした。
「月に一度は牡丹餅が食べたいのう。」
そう考えた坊主は毎月の満月の夜に村人を集め、望月回向(もちづきえこう)を開くことにしたのです。
「皆の衆はお供えとして牡丹餅を作って持ってまいれ。わしは牡丹餅の代わりに有難いお経を唱えるとしよう。」
こうして坊主は月に一度の回向で大好きな牡丹餅にありつくことができるようになったのです。


ある日、坊主はもっと牡丹餅が食べたいと考え、望月回向の時に村人たちに説