連載:おとぼけナンセンス

月が笑った



男は極寒の北極点に仁王立ちした。
その時、頭は北を、短めの足は南を指した。
そして南極点に立っている男に言った。
「おい!お前の頭はどっちを向いてる?」

一面真っ白な氷の世界である南極点に仁王立ちしていた男は、北極点の男に向かって言った。
「何を馬鹿なことを言ってる!頭はいつだって上に決まってるじゃないか!」
この時、男の頭は南を指し、その長い足は北を指していた。

地球はほぼ真円の球体である。
その地上では重力が働き、人間が立つと足は地球の重心を向き、頭は反対方向を向く。
なので北極点では北を指した頭は、南極点では反対の南を指す。
不思議と言うか