連載:恩師との再会

正月の事件

それは、暖かい正月2日のことだった。
私の携帯が鳴った。登録のない番号だったが、電話に出ると
「あらっ! ヨナさん。私小学校の時の担任の河野よ」
私の頭は一瞬凍りついた。もう卒業して70年近くは経っている。逆算しても先生ならば90代ではないかと思えたからだった。

声が大きく、張りがあり、内容も理路整然としている。
その限りではとても90代には思えない。
「貴女の書いたお母さんの『麦踏み』は素晴らしいわね。もう何度も読んだわ。お母さん、苦労されたのね」

ここまでお話されては、先生に間違いない。
しかし、その『麦踏み』と言う小冊子のエ