Brahms

初めて、ブラームス交響曲第1番を聴いたとき、大地が揺れ動くかのような感動を覚えた。作曲に17年という年月が費やされたこと。私に「文学」を教えてくれた「暗夜行路」が執筆にやはり17年かけられたという偶然に何かの因果を感じるとともに、一つのことに向き合うということの重さと意味を感得した。
ところが、耳が肥えてしまったのか、それから長い間、ブラームス交響曲に感動するという経験に恵まれないでいた。

指揮者A、美しいのは表面だけ
指揮者B、オケは纏まっているけど深みが感じられない
指揮者C、解釈しすぎ、等々

優れた演奏との出会いを諦めることさえ忘れていた、ある