『万葉集』を訓(よ)む(その二千百七)

 今回は、一七三八番歌の一五句からを訓む。
 一五句・一六句「己行・道者不去而」は「己(おの)が行(ゆ)く・道(みち)は去(ゆ)かずて」と訓む。「己(おの)」は代名詞で、「(反射指示)その人、またはそのもの自身をさす語。自分。」のこと。下に格助詞「が」を補読する。「行」はカ行四段活用の自動詞「ゆく」の連体形「行(ゆ)く」。「道(みち)」は一四句に既出で、「人の行き来するところ。通行するための筋。」をいう。「者」は漢文の助字で、係助詞「は」。「不去」は、カ行四段活用の自動詞「ゆく」の未然形「去(ゆ)か」+打消の助動詞「ず」(連用形。漢文の助字「不」で表記。