「時代小説」の日記一覧

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私の時代小説遍歴は鬼平犯科帳から始まった。

面白さにハマって結局全巻揃えてしまった時代小説 鬼平の奥様の健気さから始まった。 鬼平犯科帳は、池波正太郎による時代小説で、江戸時代の庶民生活や犯罪を描いた作品です。この作品の面白さは、以下のような点にあります。 独特の世界観:鬼平犯科帳の舞台は江戸時代の下町であり、庶民の暮らしぶりや風俗、犯罪の常識や掟などが緻密に描かれています。作者の池波正太郎が独自に創り上げた独特の世界観…

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士族としての誇りを胸に秘め

 坂上泉の「へぼ侍」を読了した。著者は東京大学文学部日本史学研究室で近代史を専攻し、西南戦争を描いた本書で2019年第26回松本清張賞および第9回日本歴史時代作家協会賞新人賞を受賞して作家デビューしている。本書は、明治維新により没落した武士の息子が、士族として名誉を取り戻すために志願兵として西南戦争に参戦する姿を描いた時代小説である。  物語の舞台は西南戦争が勃発した明治十年である。主人公で十…

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ミッション・インポッシブル

 芦辺拓の「大江戸奇巌城」を読了した。著者はいわゆる新本格派のミステリー作家で、ミステリーに対する造詣の深さ、博覧強記で知られる。本書は伝奇時代小説であり、徳川12代将軍家慶の治世で、妄想に憑りつかれて世界征服を目指す一味の陰謀と対決する五人の少女の姿を描いた作品である。本書は二部構成であり、第一部では少女達の生い立ちが、第二部では少女達が陰謀に立ち向かう姿が描かれている。  ちせは、九戸南部…

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戦国に生きる女性達

 木下昌輝の「戦国十二刻-女人阿修羅-」を読了した。著者は歴史・時代小説作家で、第92回オール讀物新人賞を受賞して作家デビューしている。本書は、長久手の戦い以下、時代の転機となった事件に至る24時間と、時代に翻弄される女性達の数奇な運命を描いた歴史小説の短編集である。  「戦腹」:天正十二年(1584年)四月八日未の刻、妊娠中にも関わらず、小牧山で戦評定に出席していた徳川家康の側室の阿茶は、織…

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改元の理由

 澤田瞳子の「吼えろ道真-大宰府の詩-」を読了した。著者は直木賞作家で、歴史、時代小説作家をテリトリーとしている。大学時代に奈良仏教史、正倉院文書を専攻し、「孤鷹の天」で第17回中山義秀文学賞を受賞して作家デビューしいる。本書は「泣くな道真」の続編で、右大臣から大宰府に左遷された菅原道真の姿をコミカルに描いた時代小説である。なお、本書では前作の「うたたね殿」こと大宰少典龍野保積に代わり、大宰大弐…

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ジャパンブルーの江戸の空

 梶よう子の「広重ぶるう」を読了した。著者は時代小説を主なテリトリーとする作家である。本書は、風景画、名所絵を得意とする代表的な浮世絵師である歌川広重の生涯を描いた時代小説である。  歌川広重は本名が安藤重右衛門であり、江戸八代洲河岸定火消屋敷の同心、安藤源右衛門の子として寛政九年(1797年)に誕生している。源右衛門は入り婿であり、養父の安藤十右衛門との間に確執があった。文化六年(1809年…

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両替商になった盗賊

 月村了衛の「十三夜の焔」を読了した。著者はTVアニメの脚本家出身のミステリー、時代小説作家である。本書は、ある殺人現場で出会った幕府の番方の旗本と、盗賊から両替商に成り上った男の、五十数年に亘る因縁を描いた時代小説である。  天明四年(1784年)五月の十三夜、湯島切通町を歩いていた御先手弓組の幣原喬十郎は、男女二人の惨殺死体を発見する。その死体の傍には、怜悧な容貌の若い男が血塗れの匕首を持…

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時代小説

「宵待ち銀次・江戸草子」              なからい悠   (はしり雨) 深川柳川町の外れに「めし屋、菊」と赤塗りの提灯が吊るされて居た。この通りは岡場所からそうも離れて居なく、やくざ者や寄せ場帰りの無頼な輩が大手を振って歩くので、地元の町の衆は眉を顰めていたのである 御用聞きは、岡っ引きや地回りと呼ばれ十手持ちを指す言葉だが、中にはごろつきまがいの者も少なく無いのも事実のこと…

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隠し伝えられた命令

 青山文平の「やっと訪れた春に」を読了した。著者は時代小説作家で、53歳でデビューし、史上2番目の67歳で2016年第154回直木賞を受賞している。本書は、藩主交代制度を廃止した分家の当主の暗殺の謎を描いた時代ミステリーである。  近習目付とは藩主に近侍し、藩の実態を報告し仕法の献策を行う重要な役目であり、本来は一つの藩には一人しかいないにだが、ある特別な事情により、物語の舞台となる橋倉藩には…

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八百万の神様の博打

 宮部みゆきの「よって件のごとし-三島屋変調百物語八之続-」を読了した。著者は直木賞作家で、ミステリー、時代劇、ファンタジー等、レパートリーの広い作家である。本書は、「おそろし」「あんじゅう」「泣き童子」「三鬼」「あやかし草紙」「黒武御神火御殿」「よって件のごとし」に続く、三島屋変調百物語シリーズの第八作目であり、著者お得意の江戸怪異譚である。なお、三島屋の黒白の間における聞き手は「あやかし草紙…

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大政奉還前夜の狂瀾

 谷津矢車の「ええじゃないか」を読了した。著者は歴史小説、時代小説作家である。本書は、大政奉還の前夜に、東海地方から京にかけて起こった、ええじゃないかの掛け声とともに踊り狂った乱痴気騒ぎの顛末を描いた時代小説である。  物語は慶応三年(1867年)夏の三河国で始まる。浜松宿の賭場で負けが込み、着物か長脇差を手放さざるを得ないところまで追い込まれた渡世人の晋八は、七十歳を過ぎたと思われる貧相な老…

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2022年:今年読んだ歴史小説・時代小説

 今年読んだ歴史小説および時代小説を、梗概を日記にアップした時系列順にまとめて、自分用にインデックスを作成しました。  なお、作品の読了日と日記にアップした日には、三か月位のタイムラグがある場合があるので、厳密に言うと、一部は今年読んだものではありません。 1.輝山:澤田瞳子   https://smcb.jp/diaries/8687566 2.邯鄲の島遥かなり 上:貫井徳郎  …

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舞台で女を演じるために

 蝉谷めぐ実の「おんなの女房」を読了した。著者はミステリー、時代小説作家であり、「化け者心中」で第11回小説野性時代新人賞を受賞し、作家デビューしている。本書は、歌舞伎を知らずに売り出し中の人気女形に嫁いだ、下級武士の娘の苦労を描いた時代小説である。  「時姫」:物語の舞台は文政時代の江戸である。米澤藩の下士の娘の志乃は、父親からある日当然縁談があると言われ、雪深い出羽の国から花のお江戸に嫁い…

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なんだかなぁ~と

  のんびり本を読んだ  フォトも日記もコメントもしない、PCもほとんど開かない               何も考えないで活字を追うだけだった  そんなに難しい内容でもない  あらたなシリーズにはいる「吉原裏同心」だが・・・  内容がジグザグして読みずらい  いろ里吉原を束ねる頂点に立つ八代目四郎兵衛と裏同心を兼ねる主人公神守幹次郎  ある時は八代目としての貫禄、…

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博多津の骨董の目利き

 澤田瞳子の「泣くな道真-大宰府の詩-」を読了した。著者は直木賞作家で、歴史、時代小説作家をテリトリーとしている。大学時代に奈良仏教史、正倉院文書を専攻し、「孤鷹の天」で第17回中山義秀文学賞を受賞して作家デビューしいる。本書は、右大臣から大宰府に左遷された菅原道真の姿をコミカルに描いた時代小説である。なお、本書の視点人物は、大宰府きっての怠け者で、「うたた寝殿」という仇名のある太宰少典龍野穂積…

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政五郎とおでこの登場

 宮部みゆきの「子宝船-きたきた捕物帖 2-」を再読した。著者は直木賞作家で、ミステリー、時代小説、ファンタジー等、レパートリーの広い作家である。本書は、元岡っ引きの手下で文庫の振り売りの北一と、武家出身らしいが風呂屋の釜焚きという謎の人物の喜多次という、ともに身寄りのない二人の若者を主人公とした捕物帳の中篇集である。なお、「おでこの中身」と「人魚の毒」は一続きの物語である。  「子宝船」:北…

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天才棋士の破天荒な人生

 谷津矢車の「宗歩の角行」を読了した。著者は歴史小説、時代小説作家である。本書は、江戸時代末期に活躍した天才棋士天野宗歩の生き方と、その死の謎を追った証言からなる、一種の伝記風時代小説である。なお本書は、裕福な商家の旦那風の謎の町人の聞き手が、宗歩と関りのあった二十人の人々にインタビューを行って宗歩の思い出を聞き出した後、自らの正体を語るという形式を取っている。  天野宗歩は文化13年(181…

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妖刀村正の呪い

 木下昌輝の「孤剣の涯て」を読了した。著者は歴史・時代小説作家で、第92回オール讀物新人賞を受賞して作家デビューしている。本書は、徳川家康にかけられた呪いを解くために、呪詛者を探し出してその首を妖刀村正で刎ねることを依頼された宮本武蔵の姿を描いた、一種の伝奇時代小説である。  物語は大阪の陣の前夜に始まる。戦乱の世はいよいよ終わりを告げ、剣豪宮本武蔵の剣は最早時代遅れになろうとしていた。多数い…