「血脈」(中) 佐藤愛子著 文芸春秋
平成13年2月10日発行
ーオレも弥も久も、何ひとつ親父から貰っちゃいない。揃って親父のカスみたいなものだ。
貰ったものもあることはあるな。女好きと喧嘩好きだ。
怠け者、見栄っぱり、嘘つき、金に卑しい、お調子者。
美点よりも欠点の方をよりよく知っている。
「只あるのは1つ、食わんがために書く真剣な文学だ。世間の人々は生活の為に血眼になって働いている。」
「誰が何といっても吉川英治はうまい。
食う為に真剣だったからだ。うまくなければ読者がつかない。」
「島崎藤村先生はどうだ。あの年齢であの作品!読む者をして自